H5N1の鳥フルのことを、TVで「毒性の強い」と言っているのを聞いたんですが、微妙におかしいと思うんですよね、この表現。病原性が強い・高い、とか、致死性が高い、とか…だったらいいんじゃないかなあ…。このウイルスって、O-157みたいに毒素を産生する訳じゃないんだよねえ?そうだとしても、ウイルスに対する形容としてはちょっと変な気がする。
「放射能を浴びる」みたいな違和感を感じます。「放射能」とは放射線を出す性質のことなので、浴びるとしたら「放射線」。「放射能」という言葉を使うのなら、高い、とか、強い、などとつなげるのが適切だと思います。
インフルエンザウイルスに限らず、すべてのウイルスはつねに一定の確率(個々のウイルスによってその確率に差があるようです)で突然変異を繰り返している、そういうものです。その突然変異のうち、何回かに一回とか何十回に一回は(あるいはもっと少ないかも知れませんが)、病原性や感染性に影響を及ぼすような変異が起こります。それが何十年かに一回の割合で、"スペインかぜ"みたいなインフルさんの大流行を引き起こして来た訳ですね。いま話題のH5N1はトリ→ヒトの感染能力を獲得していますが、そのうち、いつかはヒト→ヒト間の感染能力を獲得する、と見てもたぶん、間違いじゃないと思います。(勉強してるつもりですけど、専門家って訳じゃないので…)。いつその当たりクジをひくかがわからないわけで。このままトリからトリへの伝播が拡がれば、ウイルスとしては、いろんな宿主のDNAと接する機会が増え、それは突然変異を起こすチャンス(?)が増えるということでもある。つまりそれは、ヒト→ヒトへの感染能力を獲得したウイルスが現れる"時"が早まる可能性があることを意味します。もしそんなウイルスが出現してしまったらどうなるか、というと…、おそらく、高齢者や貧困者が最大の被害者となると考えられます(栄養状態が良くないことが多いため、ウイルスへの抵抗力が弱いから)。ニューオーリンスでのハリケーン被害において、そのへん、激しくブッ叩かれたブッシュ大統領は鳥フル欧州上陸の情報に敏感に反応していますね。その逆の考え方よりは全然良いことです。吉田秋生の『夜叉』をお持ちのかたは、そのへんのことが多少描かれているので、ちょっと読んでみるのもいいかも知れませんよ。
まあそんな訳で。

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