こちらはもう朝晩が涼しいです。秋の気配がし始めてます。
東北に来てヨカッタよ。
今日の帰り道、月が出てたのですけど、なんだか秋っぽい月でした。なんだろ、わりと高いとこにくっきり見えてる感じ?(でも冬の月ほどは遠くない)。気温も充分下がってきてて蝉ももう鳴いてなくて秋の虫の鳴き声のみになってました。10日前とはえらい違いだ。

でもまだまだ日中は暑く、夏気分なので、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』がどうにも読み進みません。作中の季節が冬、クリスマスシーズンなのですよ。

最近読んだ木原作品はちょうど、作中時期が主に夏の作品が多くて、とてもいい感じで読めました。あの、こう、なんつーの?、夏の暑さにやられた頭で見る白昼夢、みたいな感じってゆうか。目の前の景色が急にスローモーションになって見えたりとか、会話してる相手が口パクしてるみたいに感じたりする、自分の頭がおかしくなったかなって感じ?夏だよねーあれは。(そうか?)

ところで、変換が簡単なように、「きはら」と打っているのですが、つい「このはら」と打ってしまうと、「この腹」に変換されてしまう時があります。この腹…、「この腹、鳴るぜ」みたいな?
…。
すいません!
 
『SASRA』3、4、届いてます。でも江戸編は私も雑誌で読んでるから…。

 

 

以下ネタバレ含む。
他の木原作品に関してもネタバレ含みます。

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私も江戸編は木原さんだろうと思ったのですけど。
私から見て木原作品で目立つのは、登場人物の持つ「障害」が、状況などを示す抽象的な意味でなく、本当に、んーと、機能的というか器質的な障害であることが多い、という点だと思うのですね。『脱がない男』の課長はまあ、あんまり、機能的には問題ないけど、器質的には後天的な奇形ということも出来る…で、おや、と思って、『牛泥棒』の口が利けない徳馬を経て『秘密』の充を見て、やっぱり、と、だいたい確信に至る訳ですが。『秘密』のことを考えると、やっぱ江戸編は木原さんでしょ、って思うよね。(あとそれと褌で)。
この『秘密』や江戸編って、(先天的であるにせよ後天的であるにせよ)そうであるからこその純粋で無垢な美しさ、可愛らしさ、いじらしさ、みたいな、そういうの…が、書かれてるのかなあ、もしかして?
などなどと考えてしまったりしてみたり。
厳しい暑さですね。地震からもそろそろ1ヶ月になりますね。ウチの店舗の事務さんが、柏崎の親戚の家に行って来たそうですが、まだまだ壊れた家々がそのままになっているところが多く、復旧は遠そうだと話していました。この暑さもつらいでしょうね。

今日の帰り、鈴虫っぽい鳴き声が聞こえました。夜でも蝉鳴いてんのかよマジうぜーとかって思ってたのに。草むらの多いところでは虫が鳴き、木の多いところでは蝉が鳴いてて、空気は生ぬるーいし、ヘンなの、って思いながら帰りました。

実は昨日、某S神社のお祭で、拝殿で能が奉納されてました。重要無形文化財の黒川能ですね、素直に言うと。夕方からだったので、仕事終ってからじゃスタートには間に合わないし、暑いし、行かないにしよかなと思ったんだけど、ちょっと気が向いたので、行くだけ行ってみました。19時も過ぎてるっちゅーのに、じっと立ってるだけでも汗が流れてくるし、汗かいてストッキングが痒いし、遅く来たから、それに予習をしていなかったから、いま何やってるのかがわからない…ので、30分ほどで切り上げて来てしまいまいした。拝殿を舞台に、境内を客席にした会場なので、野外能?半野外能?
いちおう、「式三番」、能「竹生島」、狂言「柿山伏」、能「老松」という番組だったようなのですが。
『花よりも花の如く』の影響ですね。

いまさらながらに気付いたのですが、『秘密』の感想文、なにげに『ライ麦畑でつかまえて』のネタバレになってしまってますよね…?お断りがいまごろになってしまって申し訳ないです…。

以下、さらにさらに『ライ麦畑でつかまえて』&『秘密』ネタバレ。マジバレ。未読の人は見ないほうが良いと思います。

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私が『ライ麦〜』を読んだきっかけは、『攻殻SAC』のストーリーに少し関連があったからでした。はじめは直接読もうとは思っていなくて、どういう話なんだろうとネット上でいろいろと情報を集めただけだったのですが、その中に、統合失調症(分裂病って書いてあったかも知れない)の主人公の数日間の体験を云々、と書かれた紹介があったんですよ。それで私は、はあ、なるほど、と思って読んだ…、いえ、その前にこりゃ読んでみないと『攻殻』の話とどう関係があるのかわかんないなと思って読むことにしたのでした。このときは野崎孝訳のものを読みました。結果的に、私にとってはその病名がはっきり書かれた紹介文があったからこそ読めた小説だったと思います。そうじゃなかったら、???意味わかんない、これ、という状態になって多分読了できなかったと思います。とはいえ、読了は出来ましたけど、それでも、難しかった。あんまり理解出来た気がしませんでした。(ちなみに、『ライ麦〜』と『攻殻』はそこまで密接な関連があるとは感じられませんでした。ほんのエッセンス程度ではないかと思います)

さて、今回。『秘密』を読んで『ライ麦〜』のことを思い出したのはなぜかと言いますと、死体がなかったということが明らかになっても、いっこうに啓太が夢から醒める気配がなかったからです。だいたいこのあたりから、「ああなんだ夢だったんだ、本当に殺していなくて良かった」ちゃんと自分を支えてくれる新しい恋人も得たし、っていう風に霧が晴れていくようになるというのがありがちなパターンだと思うんですよね。でも、啓太はその後もずっと、現実と虚構の境目がどこにあるのか、本気で困惑し続けていますよね。しかも一晩寝て起きてもまだ。そこで、おや?と思ったんです。ちょっとこれはただの妄想じゃなくない?なんかこの感じって『ライ麦〜』みたい、と。『秘密』も完全に一人称で書かれていたら、これは妄想でしょ?と読者が疑う隙もなかったんではないでしょうか。『ライ麦〜』の場合がまさにそうで、最後には精神病院に入院中とわかる記述が出ては来るんですけど、それまではずっと、彼に見えているまるで極彩色の世界において次から次へと起こるいろんなことに対するマシンガントークのような独り言が延々と続いて、これが自分の妄想だったなんてね、っていうそんなような本だったように記憶していたのですが…、それで私の記憶は正しかっただろうかともう一度読み返そうと思って『ライ麦〜』を探したのですが、引越のどさくさでどこかへ行ってしまったようで、…というか、古本屋へ持って行ってしまったような気が…。それじゃあってことでまたネット上で調べてみたところ、今度は病名入りで記述された説明とか紹介とかが見当たんないのですよ。『ライ麦〜』を間違った読み方をしてたのかも知れない、と気になったので、今度は村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んでみることにしました。またそのうち感想を書いてみたいと思います。

それで…、私たちって、個人個人によって、感覚の違いって、それは勿論あるけれど、赤いものは赤く見えるし、丸いものは丸く見える、というのは基本的に同じですよね、少なくとも「小さい字は黒い塊になる」(杉浦充/『秘密』)ようには見えたりしないですよね。そういう感覚に共感を持つことは難しいですけど、こんな妄想が見える啓太だからこそ、充を受け入れられたのでは(逆にそんな充だからこそ啓太を、というのもあり)、と思ったとき、『秘密』について、「この話、すげーイイ」という感想が湧いてきたのでした。本編を読んでいる最中、啓太の妄想に振り回されている間はそんな余裕はなく、早く夢から醒めたい一心でしたが、ゆっくり後からストーリーを思い出しているとそんな感じがしてくるんですよ。…ということを言いたかった。でもこんなに長々と文章を連ねてもうまく言い切れている感じはしないのですが…。読みにくいですよね。読んでくれた人、ありがとうございます。
ISBN:4883863190 新書 木原音瀬/茶屋町 勝呂 蒼竜社 2007/04/21 ¥900

今の時期って文庫レーベル各社で、夏の100冊とか50冊とかナツイチとかが開催中ですよね。私の場合は夏の木原フェア続行中です。この夏の課題図書。ご紹介いただいたものや、手に入りやすいものから読んでいます。木原さんの本は古本屋には殆ど並んでいませんね。古本屋さんではほかにも、あの人の本、ないなあと気付いた作家さんが何人かいます。発行部数と愛読者の数の相関によるのでしょうか?

『脱がない男』『牛泥棒』と、なんというかアタリがいいところから入ってしまっただけに、次に何を引いてしまうかちょっと怖い…、というタイミングではありましたが…。

以下、ネタバレ。マジバレ。未読の人は「中は見ちゃ駄目だ。絶対に駄目だ」です。
それから、遅れて気付いたのですが、小説『ライ麦畑でつかまえて』と映画『ビューティフル・マインド』についてもちょっとネタバレしています。お知らせが遅れて済みません。

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しかしびっくりしたのは、オーリの映画を見た後で、何も知らずに手に取ったという偶然です。吹き替え声優を調べている過程でオーリが難読症だというエピソードを拾っていたんですよ。作中でそれらしい描写が出て来た時すぐにわかりました。
お蔭でこんな時間でも寝れねーよ。
つか、だいたい、この、啓太の妄想ってわかり切ってるのに、いつまでどこまで引っ張るのか?だめだ、もう夜遅いからっつっても途中では止められない、最後まで読まないと怖くて寝られないよ!っつー訳ですよ!それにしてもこの妄想の酷い小説書きっつうとアレですね、『京極堂』シリーズの関口さんを思い出しますね。それから充が難読症ならもしかして啓太は…、という連想から『ライ麦畑でつかまえて』のホールデンも思い出しましたが(だって、あいつは本当にいたのかとか、杉浦さんは幻覚なのかとかいうようなこと言うから)皆実在の人物ということで、ホールデンとは違うなと。つまり、啓太は統合失調症なのか、もしかして?と思ったけど、違うよね、って話です。妄想中に架空の人物が出てきて現実に存在しているように思うっていうパターンはホールデンしかり、『ビューティフル・マインド』のジョン・ナッシュしかり…だけど、文学と映画の中での話だしなあ、これも…。

…と、或いは、小説とは別のところでぐるぐるしてしまったお話でした。で、上記のようなことを考えていたので、わりと冷静に読んでいられた…かも知れませんでした。
ISBN:4883863247 新書 木原音瀬/依田 沙江美 蒼竜社 2007/06/29 ¥900

ドンガラピッシャーン!
私はこれがたいそう気に入った!!!

秋林さんのご推察の通り。私もこういうのが好きです。この少しばかり古めかしい空気感が実に良い。季節的にも今の時期に相応しい(物の怪が出て来るからではなく、作中の季節とほぼ同じだから)。それにいまごろの時期って、この暑さから昔の夏休みの記憶などをふと思い出して、なんとなくノスタルジックな気持ちになったりすることが多くありませんか。それにも丁度良いし。

そういえば、ウチの地元の神社の社叢にはたいそう古い椿林があり、県の天然記念物だかなんだかに指定されている。鬱蒼としていて薄暗く、辺り一面に無数の赤い花がぼたぼたと落ちている風景が思い出される。ずっと昔、子供の頃に行ったきりだ。そのまま林の奥に入って行くと、大きな沼があり…、というのはウソ。(いや椿林があるのは本当)。
ウチの実家にもだいぶあちこちに椿の木がありますよ。一番でっかいやつだと、車庫の脇に生えてるやつで、車庫の屋根より高いから、結構な高さがあります。花色は紅白が…んーと、縦縞っぽくまだらに混じってんですよ。赤はそんな強くなくてピンクっぽい色で可愛い花なんです。あと、裏の畑にお稲荷さんがあって、その周りが椿の生垣っぽくなってます。あそこは紅椿だなあ。あと、ウチ、竹藪もあるし、まあこういう下敷きのあるヒトなんで、私こういう話が大好き…って、全然『牛泥棒』の話してねーよ!
『牛泥棒』っていうタイトルも結構好きだな。雰囲気あるように感じる。特に読んだ後だと、しみじみ感すら感じるほどじゃないですか?

亮一郎も徳馬も、この時代感によく馴染む人格で、現代人にないしっとりとした雰囲気を持っている。現代人はなんとドライなのだろう。この作中では亮一郎は我侭などと言われているが、現代の我侭キャラを思い浮かべれば大したことはないように思われる。
恋愛の進展課程も良いし、エロ描写も時代に合った言葉と表現だし、非常に満足な一冊でした。皆様のご推挙に御礼申し上げます。誠に有難うございました。本につられた言葉遣いになってしまってますが。
ISBN:4835218183 新書 木原音瀬/志水 ゆき ビブロス 2005/10/19 ¥893

本日は、本来夏期休暇がない派遣の私ですが、有休を取っていいよと言われて取ったお休みでした。ただし、シフトを組む都合上1ヶ月くらい前に他の人が押さえてなくて空いてる所を取り敢えず申請しただけだったので、逆に何の予定も立ててなく…、いや、どっちにしても出掛ける予定なんて立てないですね、私のことだから…。
そんな訳で、エアコン効かせた自室で読書してました。

旧版の下巻の画像です。出るみたいなので、選んでみました。なんたってこの帯が可笑しい。「反省 後悔 懺悔 ――どうするオレ!?」 だって!超ウケる!皆は?ウケない?私がポチった新装版についていた帯に書かれていたのは 「課長っ、ごめんなさい!!!」 でした。スルーしちゃってましたね。

以下、ネタバレ感想
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安心して読んでいい木原作品、という皆様の後押しあって、気楽に手に取った本作でしたが、実はこの攻のような、おバカ若手リーマンって私の苦手な食べ物。(食べ物?)その言動のバカさ加減にイラっとしたり、失態をやらかしそうになると見ちゃいらんねーなんて思っちゃったりするんですよね。(←充分翻弄されている訳だが)…でもまあ、最終的にはラブラブになれて良かったじゃないの、せいぜい課長に磨いて貰っていい男になりな、って読後感でした。しかし課長もなんだかんだ言って、大きなわんこにメロメロじゃないですか。ねえ?母性本能くすぐられてわがままを押し切られちゃう年上彼女みたいじゃん。
実際、王道のストーリー展開で読みやすかったですね。商品企画にまつわるあれこれも、つまずいたり、思わぬひらめきが生まれたり、こういうのも王道っていうか。なんだろう、BLの中での月9?それらしく面白かった1作でした。ご紹介ありがとうございました。

ところで一点、気になったというか、頭の隅に引っ掛けておいたほうがいいのかも?と思ったのが、課長の秘密についての設定でしたね。あとまあ、縛ったり脅したりのあのあたり。ちょっと他の作家さんはあんま書かない雰囲気かもなって、思ったりしたりして。ま、置いといて、次に進みたいと思います。

追記。
あっ、あとあと、ここ、吹いた。
「私は白ワインの甘口は苦手だったんだが、君が好きだと聞いて嗜むようになった。赤のような色気と重厚感はないが、子供のような無邪気さがあって、なかなかいい」(新装版・下p82)
吹いたのは、うっわキザ!っていうのと、うっわエロ!っていうので。
と、思ったんですけど…。

じゃあ、Dさんはこれを読んだらいいんじゃないの、という木原音瀬作品をピックアップしていただくバトン。…という思い付きがですね、浮かびまして。タイトルは「もっとも危険なバトン」なんてね。…いやいやこんな回せる人が限られてるバトンはバトンじゃないですよね。とはいえ、思いついてしまったことが可笑しくてここに書いてしまいます。いままで読んだ木原作品の数、最近読んだ木原作品、もっとも気に入っている木原作品、人に勧める木原作品とその理由、などを回答していただく…、なんてこんなバトン、実際拾っていただけるものなんでしょうかね…。