ライフサイエンス

2007年8月4日
BL小説とか映画の話をもっとしたいのですが、ちょうど、短い期間の間に、共通のネタが絡んだ、「えー!!」と思うびっくりな記事をふたつ続けて見たので、ここに書いてみたくなった。

動物園のサメが「処女懐妊」、サメの単為生殖の確認は世界初

【Technobahn 2007/5/23 13:37】米ネブラスカ州にあるヘンリー・ドアリー動物園で飼育されていたメスのシュモクザメが2001年に出産した子供は単為生殖で生まれていたことが22日、英王立協会の学術専門誌に掲載された研究レポートによって明らかとなった。

 子供が生まれた水槽にはメスのシュモクザメ3匹が同居していたが、どのメスの固体に関しても少なくとも過去3年間に渡ってオスとの接触がなかった。そのため、動物園では同じ水槽に居たオスのイタチザメが父親ではないかと推測したが、シュモクザメとイタチザメは交わることはないため、メスのシュモクザメがどのようにして出産したのか、長らく議論が続いてきた。

 研究者は今回、改めて、この時生まれた子供のDNAを使って遺伝子解析を実施。その結果、子供には親となるメスのシュモクザメの遺伝子しか持っていないことが判明。この結果からメスのシュモクザメは単為生殖でこの子供を生んでいたことが確認されたと述べている。

 脊椎動物が単為生殖で子孫を残すということは一部の例外を除いて極めて稀。専門家によるとサメの単為生殖が学術的に確認されたのは今回が初めてのことだという。

----------------------------------

もっとビックリなのはこっちだ。

---------------------------------
世界初の単為生殖だった? 黄元教授のES細胞

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2007年8月3日】

 【ワシントン2日共同】世界で初めてヒトクローン胚(はい)から胚性幹細胞(ES細胞)を作ったとの虚偽の論文を発表したとされるソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)元教授が作ったのは、世界初の単為生殖によるヒトのES細胞だったと、米ハーバード大などの研究チームが米医学誌電子版に2日、発表した。

 元教授の意図とは別のものとはいえ、難病治療につながる成果が得られていたことになる。

 ES細胞は体のどんな細胞にも成長する可能性を秘める。核を取り除いた未受精卵に患者の体細胞の核を移植してできるヒトクローン胚から作ることができれば、移植しても拒絶反応が起きない。元教授は2004年の米科学誌サイエンスに実験成功を発表した。

 チームは元教授のES細胞のDNAを、新しい手法で検証。元教授が移植した体細胞の核ではなく、もともとの未受精卵が刺激により分裂を始め、一部からヒトのES細胞ができたことが判明したという。患者の卵子から作成できれば、治療にも役立つとみられる。

 元教授は04年の論文で「単為生殖の可能性を排除できないが、データはクローン胚からのES細胞であることを支持している」と述べていた。AP通信によると、単為生殖によるヒトES細胞作成は、別の研究者が今年7月に初めて論文発表した。

【注】医学誌はCELL・STEM・CELL


チョー権威ある、「ネイチャー」だって「サイエンス」だっていまやウソの論文に騙されちゃう時代だっつー話はしばらく前から耳にする話ではあった。世界中から送られてくる膨大な量の論文をすべて査読し、検証することが物理的に困難なことも一因だっつー話らしい。
この教授の問題も、発覚した当時はかなり騒ぎになりましたよね。しかも、最近韓国の研究チームって赤丸急上昇中じゃん?的なタイミングで、しかもホットなクローン技術分野でのネタだったから随分とスキャンダラスに見えたもんでした。それが、ウソはウソだったけど、別の新発見でしただなんて、皮肉というか何というか。せっかくの出物を見過ごして幻の逸品を追い求めた余りに破産してしまった、みたいな?

ところで、私が「単為生殖」という言葉を初めて知ったのは、多分、小学校高学年くらい…じゃないかなあ。あれですよ『The Five Star Stories(F.S.S.)』(永野護/角川書店)。コレに出てくるアマテラスのミカドが単為生殖で、とかなんとか書かれていたのを見たのだったと思う。この『F.S.S.』はとにかく特殊で特異な設定ばっかなので、まあいいとして。
聖母マリアが単為生殖でキリストを産んだっつー説もあるらしいけど、有り得ない話。(単為生殖だったら母親の遺伝子を100%受け継いでいるハズなので女性からは女性しか生まれない)。

ライフサイエンスは神秘に満ちている。そのうち、吉田秋生が漫画に取り入れてくれるかも知れない。そういえば『イヴの眠り』3巻くらいまでしか読んでないんです。あの後どうなったんだろう。

コメント