厳しい暑さですね。地震からもそろそろ1ヶ月になりますね。ウチの店舗の事務さんが、柏崎の親戚の家に行って来たそうですが、まだまだ壊れた家々がそのままになっているところが多く、復旧は遠そうだと話していました。この暑さもつらいでしょうね。

今日の帰り、鈴虫っぽい鳴き声が聞こえました。夜でも蝉鳴いてんのかよマジうぜーとかって思ってたのに。草むらの多いところでは虫が鳴き、木の多いところでは蝉が鳴いてて、空気は生ぬるーいし、ヘンなの、って思いながら帰りました。

実は昨日、某S神社のお祭で、拝殿で能が奉納されてました。重要無形文化財の黒川能ですね、素直に言うと。夕方からだったので、仕事終ってからじゃスタートには間に合わないし、暑いし、行かないにしよかなと思ったんだけど、ちょっと気が向いたので、行くだけ行ってみました。19時も過ぎてるっちゅーのに、じっと立ってるだけでも汗が流れてくるし、汗かいてストッキングが痒いし、遅く来たから、それに予習をしていなかったから、いま何やってるのかがわからない…ので、30分ほどで切り上げて来てしまいまいした。拝殿を舞台に、境内を客席にした会場なので、野外能?半野外能?
いちおう、「式三番」、能「竹生島」、狂言「柿山伏」、能「老松」という番組だったようなのですが。
『花よりも花の如く』の影響ですね。

いまさらながらに気付いたのですが、『秘密』の感想文、なにげに『ライ麦畑でつかまえて』のネタバレになってしまってますよね…?お断りがいまごろになってしまって申し訳ないです…。

以下、さらにさらに『ライ麦畑でつかまえて』&『秘密』ネタバレ。マジバレ。未読の人は見ないほうが良いと思います。

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私が『ライ麦〜』を読んだきっかけは、『攻殻SAC』のストーリーに少し関連があったからでした。はじめは直接読もうとは思っていなくて、どういう話なんだろうとネット上でいろいろと情報を集めただけだったのですが、その中に、統合失調症(分裂病って書いてあったかも知れない)の主人公の数日間の体験を云々、と書かれた紹介があったんですよ。それで私は、はあ、なるほど、と思って読んだ…、いえ、その前にこりゃ読んでみないと『攻殻』の話とどう関係があるのかわかんないなと思って読むことにしたのでした。このときは野崎孝訳のものを読みました。結果的に、私にとってはその病名がはっきり書かれた紹介文があったからこそ読めた小説だったと思います。そうじゃなかったら、???意味わかんない、これ、という状態になって多分読了できなかったと思います。とはいえ、読了は出来ましたけど、それでも、難しかった。あんまり理解出来た気がしませんでした。(ちなみに、『ライ麦〜』と『攻殻』はそこまで密接な関連があるとは感じられませんでした。ほんのエッセンス程度ではないかと思います)

さて、今回。『秘密』を読んで『ライ麦〜』のことを思い出したのはなぜかと言いますと、死体がなかったということが明らかになっても、いっこうに啓太が夢から醒める気配がなかったからです。だいたいこのあたりから、「ああなんだ夢だったんだ、本当に殺していなくて良かった」ちゃんと自分を支えてくれる新しい恋人も得たし、っていう風に霧が晴れていくようになるというのがありがちなパターンだと思うんですよね。でも、啓太はその後もずっと、現実と虚構の境目がどこにあるのか、本気で困惑し続けていますよね。しかも一晩寝て起きてもまだ。そこで、おや?と思ったんです。ちょっとこれはただの妄想じゃなくない?なんかこの感じって『ライ麦〜』みたい、と。『秘密』も完全に一人称で書かれていたら、これは妄想でしょ?と読者が疑う隙もなかったんではないでしょうか。『ライ麦〜』の場合がまさにそうで、最後には精神病院に入院中とわかる記述が出ては来るんですけど、それまではずっと、彼に見えているまるで極彩色の世界において次から次へと起こるいろんなことに対するマシンガントークのような独り言が延々と続いて、これが自分の妄想だったなんてね、っていうそんなような本だったように記憶していたのですが…、それで私の記憶は正しかっただろうかともう一度読み返そうと思って『ライ麦〜』を探したのですが、引越のどさくさでどこかへ行ってしまったようで、…というか、古本屋へ持って行ってしまったような気が…。それじゃあってことでまたネット上で調べてみたところ、今度は病名入りで記述された説明とか紹介とかが見当たんないのですよ。『ライ麦〜』を間違った読み方をしてたのかも知れない、と気になったので、今度は村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んでみることにしました。またそのうち感想を書いてみたいと思います。

それで…、私たちって、個人個人によって、感覚の違いって、それは勿論あるけれど、赤いものは赤く見えるし、丸いものは丸く見える、というのは基本的に同じですよね、少なくとも「小さい字は黒い塊になる」(杉浦充/『秘密』)ようには見えたりしないですよね。そういう感覚に共感を持つことは難しいですけど、こんな妄想が見える啓太だからこそ、充を受け入れられたのでは(逆にそんな充だからこそ啓太を、というのもあり)、と思ったとき、『秘密』について、「この話、すげーイイ」という感想が湧いてきたのでした。本編を読んでいる最中、啓太の妄想に振り回されている間はそんな余裕はなく、早く夢から醒めたい一心でしたが、ゆっくり後からストーリーを思い出しているとそんな感じがしてくるんですよ。…ということを言いたかった。でもこんなに長々と文章を連ねてもうまく言い切れている感じはしないのですが…。読みにくいですよね。読んでくれた人、ありがとうございます。

コメント

りょう
りょう
2007年8月16日11:44

いま国内でいちばん涼しいのは沖縄ので……。ほんと、ヘンです。

以下、『秘密』のネタバレ?なコメントです。

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>「小さい字は黒い塊になる」(杉浦充/『秘密』)

これを読んだときに真っ先に思い出したのが、二ノ宮知子の『天才ファミリー・カンパニー』に出てくる天才少女、水野唯香でした。文字をドット処理で読むので、画数の多い漢字などは苦手で、書類は拡大コピーして読むというキャラなんですが…。充とは違うのかもしれませんが、似ているなあと思いまして。
すみません、それだけなんですが、思い出したので。

『キャッチャー・イン・ザ・ライ』のご感想も楽しみにしております。

”D”
”D”
2007年8月16日20:10

いやもーすんごい暑さっすね。お体ご自愛下さい。
私も毎日患者さんに「夏ばてしてないですか?食事は摂れてますか?治療にも体力は必要ですから夏ばて対策してくださいね」って話してます。

『天才ファミリー・カンパニー』は、タイトルは知ってますけど、読んだことなかったです。なるほど、拡大コピーってとこは、確かに似てる感じしますね。

ありがとうございます。感想文は、ただ書きたいことを書いているだけなのですが、それなりに楽しんで読んでいただけているようなので、良かったです。読みやすく書くよう頑張りますね。