映画見てきた

2007年12月23日 映画
このところたまに土曜出勤することもあるのですが、今回はちゃんと三連休になりました。にもかかわらず、初日の昨日はまったく何もせずに過ごしてしまったので(ほとんど1日中布団から出なかった。眠っていたか、目が醒めている時は漫画や小説をパラ見。布団から出てる時もネットやゲームくらいしかしてない状態)、さすがにまずいでしょ、先週末もだいたいそんなだったんだから!と思って無理矢理に出掛けました。

それで、『アイ・アム・レジェンド』を見ました。ウィル・スミスが人類最後の生き残りを演じるっていう、あれです。

感想を 詳細にネタバレ しつつ語ってみたいと思います。私にとってそうしたくなる映画でした。

--------------------------------------------

人類滅亡もので、「バイオハザード」的な、いかにもハリウッドらしい娯楽大作、とでも言えばいいのでしょうか。暇つぶしのために見る映画、そんな感じだと思います。生物学的、医学的な部分においてはツッコミどころ満載。凶悪なウイルスにより、感染するとほとんどは死ぬが一部の人間は凶暴なバケモノ化し人を襲うようになる、つーこのテの設定ね、白けるし、私は嫌いです(*1)。なんでウィル・スミスが最後の生き残りになっちゃったのかっていうところを予告とかあらすじを良く見ないで選んでしまったことを後悔してしまったものですが、しかしそれを排して余りあるほどウィル・スミスの演技が良かった!それと彼の相棒のわんこが素晴らしく良かった。はゆたさんなら見たら絶対に号泣するはずです。(言い切るか)。

*1;だってさ、って言い始めるとキリがないのですが。それでもこの作中では、わんこがこのウイルスに感染すると狂犬病の犬のようになる、と、ちらっと言っていたので、そこに辻褄の合うような感じが多少はします。イヌとヒトに感染するってことで。

冒頭、きっと動物園とかから逃げ出して野生化したのであろう鹿かなんかの群れが出てきて、それを狩ろうとウィル・スミス演じるネヴィルと相棒のわんこのサムが追い掛け回しているシーンが出て来ます。ウイルス災害の3年後という設定らしいので、食料の備蓄がもうなくなったんだろうかぐらいに最初は思っていたのですが、狩りに失敗して帰宅すると、ネヴィル宅の戸棚には瓶詰めやら缶詰やらどっさりあるんですよ。あれ?と思いながら見ていると、彼らは備蓄食料で食事をし、その後ネヴィルがサムを洗ってやるシーンに。セリフをよく見てみると「ちゃんと野菜も食えよ」「お前が野菜を残すのがいけないんだぞ」「じゃあこうしよう、明日は2倍の野菜を食べるんだ」。…わんこに野菜野菜って、ヘンだよね。『動物のお医者さん』には野菜好きのわんこも出てたけど(ヘンな犬の例として)。…。そっか!狩りは、サムのために肉が必要だからあんな必死こいてやってるんだね?
ウィル・スミスの演技からも、彼がどんだけサムを大切にしているかがまたわかるんですよね。獲物を深追いしてサムが危険にさらされた時にネヴィルが見せる脅えの表情からもよくわかる。ゾンビが怖いっていうのとはあれは違うんだと思ったのですけど。サムを失うことが恐ろしいのだと。だってその後ゾンビ捕まえて治療してるんだから。

次、ホントにネタバレ
その時点で、あ、サムは作中で死ぬな、って思う訳ですよ。このウイルス、わんこの場合は咬まれると感染してしまうらしい。で、感染犬に襲われたご主人様を守って負傷。ネヴィルは連れ帰って治療を試みるが…、……。そのとき、サムの本名を呼ぶんですよ、「サマンサ」と。…女の子だったのか!サムっていうから男の子かと思ってたら。ただの相棒じゃない、死んだ妻のかわりであり、死んだ娘のかわりでもあり、サムを通して彼女らの面影を見ていたんじゃないだろうか。サムがいることで、まだ本当に家族を失ってしまったわけじゃない、みたいなとこあったんじゃないのかな。
ここと、この後のシーンのウィルの演技は圧巻。なんという孤独。深い悲しみと絶望がひしひしと伝わって来る。私も泣きそうになった。

もうひとつ印象にのこったのが、この後出て来る正常な人間の生存者、アナ。息子とともに現れます。どうも南米のほうから来たらしいのですが、どこから入手した情報なのか、米国のどっかの州の高地に非感染者の集落があるという。ウイルス学者でありこのウイルスのことを知り尽くしているネヴィルはそれを否定する。どうしてそんなことが信じるに足るのかと問うと彼女は「神がそう言った」と答える。自分たちが生き残ったことも、巡り会うことができたのも、神の意思である。これが神の計画なのだ。と、それを一点の曇りもなく信じていますっていうきらっきらした瞳で語るのですよね。「違う、このウイルスを作り出したのは人間だ(*2)、だから自分は戦う」と言うネヴィルの味方を私はしたい。神が、なんて理由になってないよと言いたい。こういう盲目的な神の信じ方にはなんとなく怖いというか、敬遠したい気持ちを覚える。
でも、ひとつの典型的な映画のシーンなんじゃないかという気がしました。アナのような敬虔に神を信じる女性と、ネヴィルのような人間の理知と行いに重きを置く男性。性別も重要だと思います。対極にある2人の人間をこういうふうに対峙させるっていうのが。どっちがいいとか悪いとかじゃなくて、いろいろなことをはっきりと見せてくれてわかりやすくなる気がします。

*2;この文中ではこれまで書いていませんでしたが、問題のウイルスは人為的な遺伝子操作を受けて生み出されたものです。もとはがん治療のために研究開発されたもののようですが。その研究開発を行った博士が女性であるところも「らしい」と私は感じるのですが。

---------
もうだいぶ書きましたね。娯楽映画にしちゃ孤独の切なさがわかり過ぎたってことと、意外に考えさせられたってことで、まだいくつか思ったことはあるのですが、書き疲れたのでこの辺でやめときます…(苦笑)。

コメント