今日ふらっと本屋に入ったらあったので、なんとなく買ってしまいました。不破さんのが読んでみたかった。

えっと、最初に、私の不見識をお詫びしておきます。自分自身、BL読者と自称していながらも、けっこうテキトー読者だったとでも言いましょうか。なんとなく、深い意味はなく、勝手にこうかなって思っていたことだったのですけど…、BL業界っていうのは、ハッピーエンド至上主義で、バッドエンドのストーリーを出しても読者が手をつけないような、そんな業界だと思っていたんですよね。でも作家さんたちは、もっとドラマ性の高いものを書きたいと思ってきた…んだと思ってました。採算のため、売れなきゃ始まらないから、オーダーに従ってハッピーエンドストーリーを量産し続けているんだと思ってました。けど…、そんな時代はもうとっくに終ってた?というかすべてそうって訳じゃなかった?BL読者の中にもドラマを読むことに目の肥えた層ってのが増えて来たんじゃないか…なんつー言い回しを私がすることは大変おこがましいのですが。だから決してJUNEへの回帰ってことでなく、BLにもっとドラマを求める流れがここ最近になって急に浮上して来た(きっと底流にはずっとあったものだと思う)…ような気が、私はしてます。…とゆう話です。

先々月でしたっけ、マガビーの特集が「泣けるBL」で別冊付録が付いていたりしたし、今月号で不破さんの『マーキナ・アンゲルス』が巻頭に来てるってことでもかるく驚きを覚えました。看板作家さんってこともあるとは思うのですが…。この『マーキナ〜』の1話目が載ったのも相当前じゃなかったですか?少なくとも年単位の昔だと思います。当時も雑誌で読んでて、「いい話だ…!」と私は気に入ったし、作者の不破さんも雑誌の柱の作家コメントで確か、ずっと描きたかったテーマだというようなことを、多分、仰っていたように記憶しているのですが…、それっきりぽっきり続編が載ることもなく…。そして今月号ですよ。「根強いリクエストにお応えし」というアオリ文句つきで掲載。キター!とか思いましたね。そうか、根強い、か。と。
すんません、ここまで全然『マーキナ〜』の筋書きに触れてなくて、わからない人にはまったくわからない話になっちゃってましたね…。えっと、 ネタバレ ご注意いただきたいのですが、『マーキナ〜』作中世界では有機細胞を用いた義手や義足のようなシステム「マーキナ・システム」が実用化されています。ですが、まだ技術的には完全なものでない…んだったかで、マーキナ・システムに置き換える身体の割合が高くなるほど脳に負担がかかるかなんかで、とくに、脳以外の全身にマーキナ・システムを適用した「アンゲルス」は重度の脳障害から最終的には死に至る(確か)ため、禁止された医療となっているのですが…という長い前置きなんですが、要は、結局愛する人を失ってしまう話です。また、そのシステムの脳への負荷から、記憶にも障害が出て来て、恋人のことがわからなくなってしまったりとか、あと確かアンゲルスには性的な機能がなくてセックスが出来ないんですよね(これは何年か前の1話目に描かれてた話ですが)。このように、BLとして挑戦的とも思えるお題を散りばめた本作、これが巻頭に来るってことで、いろいろと思うところがあったのです。

それから、英田サキ原作『すべてはこの夜に』がドラマCD化され、今月発売になりますが、こちらでも、個人的に驚いた点があります。某書店特典小冊子の『春に降る雪』、つまりぶっちゃけ恋人が死んじゃう話も、シナリオに組み込まれているそうなんです。いま思えば、小冊子でこれをGo!した時点でも出版社サイドにはある程度の勝算はあった…?いや、ほんとにあったら単行本に収録してる…?それともページ数の都合?…と、ついつい読み切れもしないのに裏を読もうとしてしまいますが、今度はCDですからそんな博打は打てないだろうと思うんですよね。だって、このブログ周辺でだって、漫画でも小説でも、本はこんなに読まれてたって、ドラマCDを買う人ってどんだけいます?もうぶっちゃけこの『すべて〜』に至ってはここらへんでは買うのは私くらいなんじゃないですかね…。こんだけ購入者が限られていてもそれでも、このシナリオで行くってことは、やっぱ小冊子の反響で手応えを掴んだってことなんじゃないかと。つまりは、いま「泣けるBL」が求められる時代が来た、と見ていいんじゃないかと、ここでも思ったのでした。

去年の『SASRA』もそのはしりというか、転生っていう安全装置を用意した上で「泣き」を提供してみた実験的な作品だったんじゃないかという気がしてきますね。もしかしたら、あれで食わず嫌いだった人も目覚めたかも知れない…なんて思ったりして。

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