『天顕祭』

2009年1月28日 読書
『天顕祭』 (New COMICS) 白井弓子
サンクチュアリパプリッシング
コミック サンクチュアリパプリッシング 発売:2008/07/26 924円
2008-07-26

以下、若干のネタバレあり。

ご近所のブログで去年…、発売日から察するに夏~秋頃ですかね…、お見かけして、読んでみようと思い買ったものの積まれたままになっていたのをようやく読みました。
面白かったです。純粋に、ストーリーやキャラクターが魅力的で引き込まれて読んだんですが、…私らしい感想を少し言わせていただくと、放射線関係の描写が詳しくて若干びびりました。えっと、私も、短期間ではありますが、放射線取り扱いに関わる仕事をしていたことがあるので、この作者さんが、改めて調べて書いたとかじゃなくって、日常で放射線に接する場合の常識として、レベルがどうとか、マスクがどうとか、そういうことを当たり前に知っていて描いているように見えるんですよね。けっこう詳しい人なんじゃ…と思いながら読んでいて、最後の最後、巻末の用語解説に「汚染地では『内側からフカレる』のを避けるためマスク着用を推奨される」と書いてあるのを見つけて、つまりこれって"内部被曝"のことだよね、これが書けるなんて決定的だ…!って勝手に思いました。それでいて、"放射線"や"被曝"という用語は一切使っていらっしゃらないのですよ。"フカシ(不可視)"に"フカレる"っていう言葉に置き換えていて、それがストーリー上でちっとも不自然じゃなくうまく生かされてるの。
そんな私には、この帯にも引用されている「生きて帰れんぞ…!」のセリフが出てくるシーンに、別の意味で真に迫った怖さが感じられるのでした。普通に読んだらヤマタノオロチっていうか、蛇の化物を怖がるところなんでしょうけど、あんな放射能に汚染されまくりの穴の底なんていったいどんな高レベルになっとんの?っつう怖がり方をしている私。(その後、針振り切ったサーベイメーターが描かれているコマがあったりして、ホントそういう怖さがあった)。


ホント無駄な補足ですが"内部被曝"って何かって話を少し。放射線にさらされる(漢字で書くと「曝される」。だから被爆でなく被曝と書くのです)ことを被曝と言いますが、さらに分けると、体の外にある放射性物質から放射線を浴びることが"外部被曝"、体内に放射性物質を取り込んでしまい、そこから出る放射線の影響を受けることが"内部被曝"です。つまり「内側からフカレる」。こう、大気中に目に見えない微細なチリとか、霧状になっているものを吸い込んでしまったり、そういうのがくっついた食品を飲食するとそうなります。例えば、そういう細かいチリが手の表面とかにくっついても、綺麗な水で洗えば落ちます。洗い落とした時点で放射線の影響はなくせます。でも、吸い込んじゃって気管や肺胞にくっついちゃったら?洗って落とすわけにも行かないですよね。だからマスクしなさい、つって作中で言われている訳ですよ。

 
…参考にならない感想文で済みません…。

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