『こころ』
CD キャラモモ 発売:2008/10/23 3,000円

けっこう良かったです。

 
以下、ネ タ バ レ ありです。わりと重大なネタバレあり。

 
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…でもやっぱりちょっと、速水さんには苦手意識があるせいかな。いや、悪くはなかったけど、でも、この「先生」役にしては、ちょっと声がつやつやし過ぎてる気がした。優柔不断で、臆病で、自己保身のために卑怯なこともついしてしまう。しかし後になって激しくそれを後悔するような善良な人間…が、この「先生」だと思うんだけど、速水さんの声のツヤって、なんか芯に自信があるように感じさせるんだよね。そこが「先生」のキャラとマッチしてないように感じる。個人的な感覚かも知れないけど。
むしろ「K」をやった石田さんのほうが「先生」に合うかも。あと、みきしんとか。ちょうど本作にも「先生」の友人役で出てるけど。

しかし石田さんは「K」の役にも激ハマりだ。上手ぇ!
とくに、最後のほうの「私は薄志弱行で到底行く先の望みがないから自殺する」「私は心弱く恥多き人生を送ってきた。もっと早く死ぬべきだったのに、何故今まで生きてきたのだろう」のところが死ぬほどぐっと来る。…これは落ち込んでる時には聴いちゃいけねえ。

桑島法子さんもなかなかいい。彼女は、先生の学生時代の回想のなかでは下宿先の「御嬢さん」として、のちには先生の「奥さん」として出てくる女性を演じているのですが、無邪気で可愛い少女時代と、大人の女性となった夫人時代の演じ分けがしっくりくる演技で良かった。

マモは、以前に『月刊男前図鑑』で聞いたときは、語り系ではまだちょっとなんか足りないものがあるなーって感じたんだけど、本作のプロローグでの「私が先生と知り合いになったのは、鎌倉だった」のとことか、タイトルコールの「こころ」ってとことかがなかなか良かった。

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私は、中学生のときに『こころ』を読んだことがあったんですよ。夏休みの宿題である読書感想文を書くために、夏の100冊~的なパンフをもらってその中から選びなさい、っていうのだったと思います。当時実際、どう考えて選んだかを憶えている訳ではありませんが、でもまあ、無駄に背伸びして『坊ちゃん』やら『吾輩は猫である』を回避したんだっつーのは明白ですよねー…。恥ずかしいな。でもって、全然理解できなかった。内容を殆ど憶えていなかったから。「K」が頚動脈を切って死んだ、ってとこだけ憶えてた。(そこ!?)。読書感想文も書いた筈ですが…、どんなことを書いたのか、全く記憶にないスね。

で、今回、このCDを聴いたら、猛烈に読みたくなって、そうして読んだらすげー面白かった!ていうか、CDで聴いてちょっと変と思ったとこって、脚本化にあたって変えられたり付け加えられたりした部分だった。
わかりやすく現代風にする、っていう言い方もあると思うんですけど、私はそういうのが逆に時代の風味を削ぐように感じられるんで…。

しかしいまさら夏目漱石を読んで面白いと思うとは。いや、今だから、なのかも。
あ、それと、文中で(原作のほうですよ)、「ちょいちょい」とか「ぐだぐだ」って書かれてる箇所があったんですよ。最近使われてるのと意味はちょっと違うんだけど、じつは漱石って新しい?っつー驚きがありました。

まあそんな訳で。

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