『茅島氏の優雅な生活』〈3〉 (幻冬舎ルチル文庫)
文庫 幻冬舎 発売:2009/06/16 580円


この表紙イラストいいですね。茅島氏がわずかに頬を染めているのが可愛い。

 
以下ネタバレあり 
 
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3巻目はお庭描写がなかなか出て来ず、少なからずがっかりしかかりましたが、終盤に近いところで、もうたっぷりと丁寧に茅島邸の庭についての描写があり、満足しました(笑)。白いクレマチスのアーチもあるそうですよ。それで2巻の表紙があれだったんですねー。

シークレットガーデンも効果的な演出に使われていました。なかなかいいシーンでした。その章での(章っていうか編?)季節は冬でしたが、枯れた庭にやさしく雪が降るのも美しい風景ですね。この章では不覚にもジーンとしちゃって…。特別な日の晩餐にあたって、相手のために心を尽くして特別な装いをするってゆーのは、なんか…、なんか、いいもんですね。

あと、庭師の彼のほうが酷く苦しい思いをする一編が入っていて、ちょっといい気味です。

そして執事の波多野氏は相変わらず素晴らしい。えっとですね、茅島邸を訪れた客人が、本当は夕方には辞する予定だったのに疲れのために眠り込んでしまうんですね。それでベッドに運んで休ませ、起きた後、夕食をとっていくよう勧めます。その際に、ベッドで寝たからシャツはしわくちゃな訳ですよ。そこで言うのが。
「とてもあつかましいお願いがしたいのですが」と前置きしてさらに「お勤め用のシャツはいつも白をお召しでございますので、どうでしょうか、今夜は少しだけ色の入ったシャツにお着替えいただけませんでしょうか」ですよ?まー、ちょっと慇懃すぎる気がしないでもないし、まー、なんかあれなんですけど、なるほどねー!と思ったんですよ、私はね。いやほんと、凄い執事です。大好きです。

実際のとこ、気ーつかわれんのに馴れてないと、こんなもの言いされたら却って困ると思うけど(笑)。じつは私も、美容院とかで、帰るときにコートとか上着を着せ掛けてくれようとするでしょう、あれなんかもダメなんですよ。どうしても恥ずかしくて。手で受け取って、自分で着ます。

あと、あとがきにあったのですが、麻々原さんによる漫画版の続きが出ることになったそうです。やった!私はこれ嬉しい。同じシーンでも原作とはちょっと違った間の取り方になっているように見えたところがあったんですけど、そういうところとかが好みだったし、絵が好きだし。
楽しみです。



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