『朝から朝まで』 (幻冬舎ルチル文庫)
文庫 幻冬舎コミックス 発売:2009/04/15 580円
ネ タ バ レ ってほどではないと思うんだけど…。
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この『朝から朝まで』のことじゃなくて、なんですけど。ちょっと時間があいたりした時なんかに、ちょうど近くにあった積読を手にとって、これ読んじゃおうかな、どうしようかな、つって最初の1~2ページだけ読みかけて、やっぱ後にしようってことが、私には良くあるんですけど、皆さんどうですか。その最初の1~2ページでは、まだ引き返せるっていうか、まだ充分な情報が入ってこないっていうか、そういう状態のことが多いんですけど、本作『朝から~』では、も、1ページ目から捕まって読むのをやめられなくなっちゃったんですよ。
主人公の大学生は、TV局でバイトしてて、早朝の番組の雑用をしてる子なんですけど、そのバイトシーンからスタートしてます。そのTVらしいスピード感とカオス感っていうのか、とにかくめまぐるしくて、とにかくごちゃごちゃしてる感じがうまく描写されてて引っ張られるんですね。で、バイトが一段落つくと、読み手もちょっとほっとして、で、どういう話なの?って少し腰を落ち着けて話を追っ掛けていく雰囲気になります。
この作者の一穂さんて、『雪よ林檎の香のごとく』、『オールトの雲』で、なんと言うか、文学的なしっとりとした雰囲気でじんわり読ませるような、そういう印象を私は持ったので、本作でのTV描写にびっくりしたんですよね。あ、TVも好きなんだ、って。そしてTVの雰囲気の描き方もうまいし、けどそんな中でも朝焼けなんかの自然や気象現象を話の中に織り込んでて、その詩的で美しい表現は、やっぱり出ました十八番て感じだし。で、驚きつつ感心しました。
それと、なんていうのかなー、TVやマスコミの嫌なところも(とくに事件報道に関してとか)曖昧にしないで書いてるし、でも報道に携わる側の人間の気持ちにも触れているし、なんていうか「ちゃんと書いてる」って思った。
あと、本作に限ったことではないんだけど、人の死を割とはっきり書く作家さんですね。(勿論それで良いと思っています)。
なので、ぱっと見、センシティブ系でやさしい物語を書く作家さんに見えがちだけど、どうもそれだけじゃなさそう、って思いました。
BLとしての出来は、いままでのよりはちょっと落ちるかな…っていう気はします。ごめんなさい。でも、気持ちが通じ合った後で、「離れ難いんだけど今日は帰らなきゃ / 帰さなきゃ、でもやっぱり離れたくない」的なシーンがあるんですけど、ここ凄く良かったです。
ま、こんなとこでしょうか。
文庫 幻冬舎コミックス 発売:2009/04/15 580円
ネ タ バ レ ってほどではないと思うんだけど…。
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この『朝から朝まで』のことじゃなくて、なんですけど。ちょっと時間があいたりした時なんかに、ちょうど近くにあった積読を手にとって、これ読んじゃおうかな、どうしようかな、つって最初の1~2ページだけ読みかけて、やっぱ後にしようってことが、私には良くあるんですけど、皆さんどうですか。その最初の1~2ページでは、まだ引き返せるっていうか、まだ充分な情報が入ってこないっていうか、そういう状態のことが多いんですけど、本作『朝から~』では、も、1ページ目から捕まって読むのをやめられなくなっちゃったんですよ。
主人公の大学生は、TV局でバイトしてて、早朝の番組の雑用をしてる子なんですけど、そのバイトシーンからスタートしてます。そのTVらしいスピード感とカオス感っていうのか、とにかくめまぐるしくて、とにかくごちゃごちゃしてる感じがうまく描写されてて引っ張られるんですね。で、バイトが一段落つくと、読み手もちょっとほっとして、で、どういう話なの?って少し腰を落ち着けて話を追っ掛けていく雰囲気になります。
この作者の一穂さんて、『雪よ林檎の香のごとく』、『オールトの雲』で、なんと言うか、文学的なしっとりとした雰囲気でじんわり読ませるような、そういう印象を私は持ったので、本作でのTV描写にびっくりしたんですよね。あ、TVも好きなんだ、って。そしてTVの雰囲気の描き方もうまいし、けどそんな中でも朝焼けなんかの自然や気象現象を話の中に織り込んでて、その詩的で美しい表現は、やっぱり出ました十八番て感じだし。で、驚きつつ感心しました。
それと、なんていうのかなー、TVやマスコミの嫌なところも(とくに事件報道に関してとか)曖昧にしないで書いてるし、でも報道に携わる側の人間の気持ちにも触れているし、なんていうか「ちゃんと書いてる」って思った。
あと、本作に限ったことではないんだけど、人の死を割とはっきり書く作家さんですね。(勿論それで良いと思っています)。
なので、ぱっと見、センシティブ系でやさしい物語を書く作家さんに見えがちだけど、どうもそれだけじゃなさそう、って思いました。
BLとしての出来は、いままでのよりはちょっと落ちるかな…っていう気はします。ごめんなさい。でも、気持ちが通じ合った後で、「離れ難いんだけど今日は帰らなきゃ / 帰さなきゃ、でもやっぱり離れたくない」的なシーンがあるんですけど、ここ凄く良かったです。
ま、こんなとこでしょうか。
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