『おいしい!生地―スポンジ、パウンド、シフォン…焼きっぱなしで極上に』
文化出版局
単行本 文化出版局 発売:2004/04 1,575円

だいぶ以前に秋林さんが、この本のとおりに作ったら目からウロコの美味しさだった!と、ご紹介されていましたが、それで私も興味を惹かれてこの本を買ったんですよ。そしてざっと一読した結果、 この本はうちの兄貴に向いている。 と思ったのです。ヤツもけっこう多趣味なんですけど、なんていうかなあ、お菓子に限らず、「家庭でもできる」系手作り、みたいなそういうのがとくに好きなんですよ。ケーキ類をはじめ、自家製アイスクリーム(これはアイスクリームメーカーを使って)とか、手作りピザ(ピザ生地を手作り)とか、あとあれ、自家製ビール。酵母とホップをネット通販で仕入れたそうです。このように、もの作り方面に興味を惹かれるタイプの兄には、こういう本がいいんじゃないかと思ったんですよ。

お菓子作り、と言うと、「女性的」とか「繊細」などといったイメージを持つ人も多いかもしれませんが、ことによったら一般的な料理よりも男性に向いているかも、と私は思います。たとえば、火加減は「中火で」、「しんなりするまで」とか「全体に火が通ったら」なんていう指示よりも、「何度の」オーブンで「何分間」焼く、というくらい具体的な指示が多いお菓子作りのほうが実行しやすく思われるのではないか、と思うからなんですけど。(お菓子作りでも感覚で判断する部分はありますが、普通の料理よりは、という相対的な比較でのお話です)。

しかも、本書『おいしい!生地~』は普通のお菓子作りの本よりも、指示が細かい、というか、数値を多く用いた具体的な指示が多いんですよね。

なので、この本をそのまま兄貴にプレゼントしました。…と言っても、直接渡した訳じゃなくて、実家に荷物を送る用事があったときについでに入れて、母宛のメモに「この本を兄貴にやって」という一文を添えた程度にしていたので、実際に兄貴の手に渡ったかどうかも、実は確認してなかったんですね。…まあ、忙しいかも知れないし、貰ったって困るかも知れないしー…と、そういうのを気にする心理もあって、積極的に押し付けるのではなくて、向こうの手の届くところに置いておいて、手に取るかどうかは向こうに任せる、という感じでいました。
これ、 ゆうに1年以上は前の話 なのですが。

それが今年のお盆になって、結果が実物のパウンドケーキになって出て来た。

「お前に貰った本の通りに作ってみたぜ」どーん! さぁ食え! みたいな感じで。

ちょっと嬉しかった。すぐに芽が出なくても、諦めずに種を蒔きつづけるべきなんだな。
そしておいしかった。本当に生地の口当たりが違う。きめの細かさ、舌触りの滑らかさ、いままでのとは全然違う。

でもまだ秋林堂の域には到達してないですね。(秋林堂のケーキは神)。
しかし普通レベルはすでに突破したと思うので今後に期待したいと思います。

ちなみに、うちの庭で採れたブルーベリーを使ったケーキでした。

まあ、そんな訳で。

コメント

秋林 瑞佳
2009年8月20日20:11

この本はですね、「ある程度それなりのものはできる」人が壁にぶち当たって、「美味しいけどなんか足りない…どうすればいいんだろう?」と思ったときに見るといい本だと思います。初心者の場合、それなりの人との「どうすればいいんだろう?」の段階がぜんぜん違うので、書かれてあることに膝打ちできないのです。たぶん「すごく細かい指示。なんで?」と思うんじゃないかな。

たとえば「粉を入れて混ぜる」と書いてあって、その通りにしようと思っても、それをどうやって混ぜるか、どの程度混ぜればいいのかわかってないと、出来上がりにかなり差が出ます。それなりのものができるようになっても、混ぜ方を知らないとそれなりのものしかできないんです。で、それなりのものでいい人はそれでいいんだけど(美味しいと満足しているだろうし)、ちょっと探求したい人は満足できない。でもどこかどう悪いのかわからない…というときに、この本を見ると「ああ、そっか」となるわけです。だから本に書かれてあることに膝打ちできるわけです。

Dお兄ちゃんは、この本をご覧になって、たぶん膝打ちされたんじゃないかなあ…。

”D”
2009年8月21日0:24

> Dお兄ちゃんは、この本をご覧になって、たぶん膝打ちされたんじゃないかなあ…。

うん、きっとね、そうだと思うんだ。
こういう、こうすればこうなるっていうハウツーを知ることが好きで、それをやってみたいタイプのヤツなんだよねー。
あ、そうだ、みずがめ座なんですよ。探究心旺盛な。

よい本のご紹介をありがとうございました!