ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》 [DVD]
DVD ユニバーサル ミュージック クラシック 発売:2010/06/23 6,500円

これは持ってる訳じゃないんだけど、ジャケットがちょっと雰囲気いいかなあと思って。

NHKで、「名曲探偵アマデウス」というクラシック音楽バラエティ番組があるんだけど、しばらく前にそれで『トリスタンとイゾルデ前奏曲』を取り上げた回を見ました。
で、この曲の背景やストーリー、そして特徴的な和音や旋律が何を意味しているのか、などの知識をちょっとだけ身に付けました。

その後、フィギュアスケート関連の動画を探しているうちに、中京TV主催のアイスショーイベント、「THE ICE 2010」でジェフリー・バトルくんがこの『トリスタンとイゾルデ前奏曲』の一部をつかったプログラムを演じている動画に辿りつきました。
http://www.youtube.com/user/theiceCTV#p/u/8/ASw90HB4ndA

多分、前もって曲のことを知っていたからだろうと思うんだけど、もう、ものすごくドキドキしてしまって…!

「まなざしのモチーフ」と呼ばれる旋律があるんですよ。
まあ、順を追って話すとしますとですね。アイルランド王女のイゾルデにはかつて婚約者がいましたが、彼はトリスタンとの決闘に敗れて命を落とします。トリスタンはコーンウォール王に仕える騎士、という身分です。その後イゾルデは政略結婚のためにコーンウォール王に嫁ぐことになります。トリスタンから見て主君の妃、イゾルデから見て婚約者の仇。しかし愛し合ってしまう、というのがこの物語。
ふたりの出会いは、イゾルデの婚約者とトリスタンが決闘した後。決闘でトリスタンも重傷を負ってしまいます。医術の心得があるイゾルデがトリスタンの治療を依頼されますが、この時点ではまだ仇敵であることを知りません。しかし途中で気付いたイゾルデ。騎士とはいえ、相手は深手を負っていて、女の手でも殺そうと思えばできる。婚約者の仇…!と剣を振り上げた瞬間、トリスタンと目が合ってしまう――。その瞬間に鳴る音が、「まなざしのモチーフ」なんですよ。とてもドキッとするようなメロディで、それが前奏曲にも織り込んである、という訳なんですね。で、イゾルデはもう、その剣を振り下ろすことは出来なくなってしまった。この目が合った瞬間がすべての始まり…的な仕立てにしてあるのがワーグナーの脚本の場合。(いわゆるトリスタンとイゾルデ伝説とは微妙に違いがあるのだそうです)。

その「まなざしのモチーフ」が鳴った瞬間にさっと手を広げてイナバウアーで(荒川さんほどは反り返らないが)すーっと滑って、ポーズをじっくりと見せる振り付けはすごく印象的で、音楽をよくわかっている、と感じました。いわゆる恋に落ちる瞬間、それにあわせる要素はジャンプやスピンじゃない、と。やりよるわ…。

まあ、ほとんど吊橋理論というか条件反射というかで、その「まなざしのモチーフ」を聴いたらドキッとしてしまう状態になったところで王子様然としたジェフリー・バトルの演技を見たら、ぐっと来てしまった、というお話でした。

まあそんな訳で。

-----------------

すいません、ちょっと間違ってました。私が「まなざしのモチーフ」だと思い込んでいたのは、「まなざしのモチーフ」の直前に鳴るフレーズでした(苦笑)。ま、でも、厳密には名前が違うんだけど、すごく印象的な音が鳴ってるんですよ、ということで…。

コメント