『マークスの山』文庫版
2011年2月18日 読書
『マークスの山』(上)高村薫 講談社文庫
文庫 講談社 発売:2003/01/25 680円
下巻も含めて、読み終わりました。
去年の秋ごろでしたかね、ドラマ化するっていう記事をYahooのトピックスか何かのつながりで見て、読んでみたいと思い、とりあえず文庫版を古本で探して入手したものの見事に積んでいたのでした。しかし私にしては比較的短い積読期間です。
それと、少し前に2002年のNHKのドラマを見る機会があったんですね。『マークスの山』とは別の作品ですが、同じ強行犯捜査第七係の刑事さんたちが活躍する話を原作としたドラマです。これが私には凄く面白かったんですよ。読む前にドラマ見たからかも知れませんが、うまいと思った。原作の小説では警視庁のところ、ドラマでは大阪府警に置き換えて、せりふはみんな関西弁、登場人物の名前なんかもだいぶ変わっているんですが、それが却って面白く見えました。あとで小説を読んで思ったんですが、七係の面々が野次飛ばすところとか、捜査の過程で揉めるところとか、関西弁でがなり合うのがすっごいハマってんの。あとNHKのこれ系のドラマはキャスティングがいいと思うことが多いですね。(舘ひろしで『新宿鮫』とか渡部篤朗で『外事警察』とか森山未来、寺尾聰、武田鉄矢で『刑事の現場』等々)。本作でも渡辺謙は、原作の合田とは多少のギャップは感じるものの、このドラマのこの役にはぴったりハマってると思うし、あとで小説を読んだとき激ハマりだと思ったのは、吾妻にあたる役を演じた段田安則と、又三郎にあたる役を演じた伊原剛志。いや、この2人はホント、『マークス』を読んでいてもこの2人の声や芝居が脳内再生されました。
で、次からやっと本当の『マークスの山』の感想です。
以下ネタバレあり
---------------
かなり面白かったんですけど、ラストのちょっと手前が、なんだか釈然としなくて、…引っかかるんですねえ。
あのテの遺書的なものでネタが明かされるっていうのは、まあ定番の手法で、それはべつにやじゃないんですけど、実行の段になるまで計画を知らなかった、という人物の視点による記述なので、凶行に至るまでの狂気、みたいなものが感じられなかったんですね。ことのあらましを知って、「…そういうことだったのか…!」という感想ではなくて、「なーんだ、そっか」って思った。…というような感じかなぁ。
その前まで凄い読ませてくれる感じだったから、なおさらね。
水沢が容疑者として浮かびあがってくるあたりがかなり印象的だった。合田が、過去に自分が関わった捜査の資料を見たり洗いなおす過程で、当時の捜査の見落としや詰めの甘さがぼろっぼろと出てくるあたり。うっわ、穴っだらけじゃねーか!つって、ちょっと怖くなりましたね。なんて言うか、わかるもん、合田の気持ち。過去の自分の仕事に明らかなミスが見付かって、どうしてそんなことをやらかしちゃったのか見当もつかない、自分がそんなことをするはずがないと思いたいが目の前に証拠がある…みたいな、そんな感じでしょう、これって。感じたのはそういう怖さです。
そのままラストまで突っ走れたら良かったんですが、その手前でちょっとテンション下がってしまったので、シーンとしてとてもきれいなラストだったけれど、もうひとつ感動できなかった感があって、ちょっと惜しいと思った作品でした。
ところで、以前に私が読んだことのある高村作品は『わが手に拳銃を』と『李歐』(前者を大幅に改稿したものが後者)があるんですが、文庫版『マークスの山』にくっついていた帯にも「大幅改稿」て書いてありました。そういえばそうでしたね、改稿することでよく知られている作家さんなんでしたよね。…これは。単行本『マークスの山』も読んでみないと、なんか私はすっきり出来ないような気がする。それで、今日、古本屋に行ったらすぐ見付かって買えたんですけど、105円でした。1890円のハードカバーが。同じく『照柿』と『レディ・ジョーカー』上下のハードカバー版単行本も、それぞれ105円であった。そして私は150円分の割引券を持っていた。もともとは1冊2000円近くする本を4冊も買ったが、100円玉3枚出しただけても釣りが来た…。…。
あと、合田の元義兄について。まあ、いいんですけど、元義弟が大好きなのはね。でも風呂汲んでやったり、靴磨いてやったりはやりすぎでしょ(笑)と、そこを突っ込むのもけっこう楽しかったです。もっと出てくればいい。
----------
こういう感じの警察小説は、だいたい奈央さんのブログを見れば情報があることが多いんですよね~ということでお邪魔させていただきました。この場にて御礼を述べさせていただきます。ありがとうございました。
それにしても奈央さんがマークスについて書かれていたのが2003年ごろだったということで…、「そんなに前!?」つってびっくりしました。(秋林さんとこでラステロの記事探して「そんなに前!?」と思いましたが、それよりもっと前だった…)
文庫 講談社 発売:2003/01/25 680円
下巻も含めて、読み終わりました。
去年の秋ごろでしたかね、ドラマ化するっていう記事をYahooのトピックスか何かのつながりで見て、読んでみたいと思い、とりあえず文庫版を古本で探して入手したものの見事に積んでいたのでした。しかし私にしては比較的短い積読期間です。
それと、少し前に2002年のNHKのドラマを見る機会があったんですね。『マークスの山』とは別の作品ですが、同じ強行犯捜査第七係の刑事さんたちが活躍する話を原作としたドラマです。これが私には凄く面白かったんですよ。読む前にドラマ見たからかも知れませんが、うまいと思った。原作の小説では警視庁のところ、ドラマでは大阪府警に置き換えて、せりふはみんな関西弁、登場人物の名前なんかもだいぶ変わっているんですが、それが却って面白く見えました。あとで小説を読んで思ったんですが、七係の面々が野次飛ばすところとか、捜査の過程で揉めるところとか、関西弁でがなり合うのがすっごいハマってんの。あとNHKのこれ系のドラマはキャスティングがいいと思うことが多いですね。(舘ひろしで『新宿鮫』とか渡部篤朗で『外事警察』とか森山未来、寺尾聰、武田鉄矢で『刑事の現場』等々)。本作でも渡辺謙は、原作の合田とは多少のギャップは感じるものの、このドラマのこの役にはぴったりハマってると思うし、あとで小説を読んだとき激ハマりだと思ったのは、吾妻にあたる役を演じた段田安則と、又三郎にあたる役を演じた伊原剛志。いや、この2人はホント、『マークス』を読んでいてもこの2人の声や芝居が脳内再生されました。
で、次からやっと本当の『マークスの山』の感想です。
以下ネタバレあり
---------------
かなり面白かったんですけど、ラストのちょっと手前が、なんだか釈然としなくて、…引っかかるんですねえ。
あのテの遺書的なものでネタが明かされるっていうのは、まあ定番の手法で、それはべつにやじゃないんですけど、実行の段になるまで計画を知らなかった、という人物の視点による記述なので、凶行に至るまでの狂気、みたいなものが感じられなかったんですね。ことのあらましを知って、「…そういうことだったのか…!」という感想ではなくて、「なーんだ、そっか」って思った。…というような感じかなぁ。
その前まで凄い読ませてくれる感じだったから、なおさらね。
水沢が容疑者として浮かびあがってくるあたりがかなり印象的だった。合田が、過去に自分が関わった捜査の資料を見たり洗いなおす過程で、当時の捜査の見落としや詰めの甘さがぼろっぼろと出てくるあたり。うっわ、穴っだらけじゃねーか!つって、ちょっと怖くなりましたね。なんて言うか、わかるもん、合田の気持ち。過去の自分の仕事に明らかなミスが見付かって、どうしてそんなことをやらかしちゃったのか見当もつかない、自分がそんなことをするはずがないと思いたいが目の前に証拠がある…みたいな、そんな感じでしょう、これって。感じたのはそういう怖さです。
そのままラストまで突っ走れたら良かったんですが、その手前でちょっとテンション下がってしまったので、シーンとしてとてもきれいなラストだったけれど、もうひとつ感動できなかった感があって、ちょっと惜しいと思った作品でした。
ところで、以前に私が読んだことのある高村作品は『わが手に拳銃を』と『李歐』(前者を大幅に改稿したものが後者)があるんですが、文庫版『マークスの山』にくっついていた帯にも「大幅改稿」て書いてありました。そういえばそうでしたね、改稿することでよく知られている作家さんなんでしたよね。…これは。単行本『マークスの山』も読んでみないと、なんか私はすっきり出来ないような気がする。それで、今日、古本屋に行ったらすぐ見付かって買えたんですけど、105円でした。1890円のハードカバーが。同じく『照柿』と『レディ・ジョーカー』上下のハードカバー版単行本も、それぞれ105円であった。そして私は150円分の割引券を持っていた。もともとは1冊2000円近くする本を4冊も買ったが、100円玉3枚出しただけても釣りが来た…。…。
あと、合田の元義兄について。まあ、いいんですけど、元義弟が大好きなのはね。でも風呂汲んでやったり、靴磨いてやったりはやりすぎでしょ(笑)と、そこを突っ込むのもけっこう楽しかったです。もっと出てくればいい。
----------
こういう感じの警察小説は、だいたい奈央さんのブログを見れば情報があることが多いんですよね~ということでお邪魔させていただきました。この場にて御礼を述べさせていただきます。ありがとうございました。
それにしても奈央さんがマークスについて書かれていたのが2003年ごろだったということで…、「そんなに前!?」つってびっくりしました。(秋林さんとこでラステロの記事探して「そんなに前!?」と思いましたが、それよりもっと前だった…)
コメント