マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)
単行本 早川書房 発売:1993/03 1,890円


やっと登頂成功(読了)。

うーん、やっぱり先に読んだほうに強い印象を持ってしまうものなのか…、両方読んでみてどっちが好きかって言ったら、私は文庫版のほうがいいですね。



以下ネタバレ

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事件の流れというか、整合性みたいなものは、改稿された文庫版のほうが、きれいに整っているような気がします。流れがスムーズというか。ちょっとずつちょっとずつ隠れていたものが出て来て、最後の「山」に向かう流れが読み手に伝わりやすい気がします。

文庫版では、中盤にも森くんが山の情報を集めに岐阜、富山、長野を駆け回っているけど、単行本版では電話で問い合わせるのみ。それと、山岳会OBのコメントが出てくる文庫版に対し、単行本ではそれがなかったり…、ということもあって、単行本版ではラストの「山」の出て来かたにちょといきなり感がありました。

文庫版では生き残った人物が、つぎつぎ消えていく単行本版では、却って事件が混迷を深める印象あり。
けど、それだけに、よりスリリングな感じはあります。場面場面で、映画化やドラマ化したら映えるシーンになるだろうな、と思うことが多かったのも単行本版のほうでしたね。

あと、林原と吾妻(と合田)の対決シーンにすごく読み応えがあったなと思うのは単行本版のほう。

そうだなあ…、文庫版と単行本版、どっちにもいいところはあるし、どっちにも「ここちょっとな」と思うところはありますね。足して2で割ったら、私に丁度いい(笑)。


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